“ソーシャル・キャピタル”が実体マネーを生み出す
貨幣の価値はたとえそれが紙だろうとゴミだろうと、みんなの「信用」によって決まるということです。
経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫) P.15
- 作者: タラ・ハント津田大介(解説),村井章子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/03/11
- メディア: 単行本
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読了して思い出したのが、上記の言葉だった。本書にはこうある。(P.15)
2ドルなければミルクも買えない。ただ、オンライン・コミュニティでは2ドルに同じ価値がないことは覚えておいてほしい。
本書では
- オンライン・コミュニティやソーシャル・ネットワークの発展によって、市場経済における資本(マーケット・キャピタル)とは別の経済とそこでの指標標“ソーシャル・キャピタル”が生まれた。
- ソーシャル・キャピタルとマーケット・キャピタルは密接に関わるようになってきており、ソーシャル・キャピタルの増大が最終的に実体マネーの増大に繋がっている。
ということが、米国の様々な実例をもとに説明されている。
ソーシャル・キャピタルについては、P.11で
ソーシャル・キャピタルは、お金ではないのだ。ソーシャル・ネットワークで結ばれた人同士の間に時間をかけて育まれる信頼。
あるいは尊敬。あるいは評価。
と説明されている。
本書の題名から「企業がツイッターを使って儲けるためのことが書かれた書籍」と想像されるかもしれないが、それはごく一部でしかない。
企業にとどまらず個人や組織が、ブログ/SNS/ツイッターなどのソーシャル・ネットワークのツールを利用して、ソーシャル・キャピタルを増やす方法や失敗しないための教訓が、多くの実例をもとに書かれている。
日本でも市場経済とは別のソーシャル・ネットワークの経済が大きくなってくるであろう。新しい経済圏でソーシャル・キャピタルを得るための方法・手段のヒントが本書には満載である(失敗例やこれをやっちゃダメという実例もある)。個人も組織も、ネットやECビジネスに関わる人もそうでない人も、すべての人に役立つと思うので、是非一読してみてはどうだろうか。