人月単価ベースからパフォーマンスベースのビジネスモデルへ【その2】

前エントリの続き、その2...というか考察です。

経済産業省の報告書、『「情報システムのパフォーマンスベース契約に関する研究」報告書(PDF)』を読みました。


システム運用やアウトソーシングASP/SaaSBPOはパフォーマンスベースのビジネスモデルが急速に普及していくと思います。

実際パフォーマンスベースのビジネスが国内でも海外でも登場してきていますし、それらが事例になったりベンチマークになったりしながらIT業界全体で、そしてユーザ企業も巻き込んで普及が進んでいくと思います。


問題は大規模の受託開発でしょう。

パフォーマンスベースのビジネスモデルは、これから義務化される受託開発の会計基準工事進行基準適用と矛盾する部分がありますし、ベンダのリスクがかなり大きい、そして、パフォーマンスの指標(KPI)の定義とユーザ企業との合意形成(=価格の決定方法と契約)が非常に難しいと思います。(解決のために業界毎に多くの事例を積み上げたいけど、大規模の受託開発は数も限られるし、ユーザもベンダも戦略上システムの効果や開発費用などの数字は表に出て来にくい・・・)


では・・・ということで、

「人月」単価はなくなるか・パフォーマンスベース契約の可能性, IT業界の進路(有賀貞一), (NIKKEI NET - IT+PLUS)

カスタムメードソフトの場合、工数積算・見積り方式はのこるであろう。ただし、各エンジニアの付加価値を大幅に価格体系に反映させることができれば、人月工数積算方式は妥当なものとなる。そのためには、専門性の明確化と新しい付加価値価格体系の構築が必要である。これは実質的にはパフォーマンスベース契約に移行することを意味しよう。

ここにあるように、大規模システムの受託開発においては、エンジニア個々人の能力・パフォーマンスを人月単価に反映し、各エンジニア単価×工数を積算していく方式(上記引用中の「人月工数積算方式」)が実質的なパフォーマンスベースのビジネスモデルとして定着していくのではないかと思います。